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ITと何かのコラボレーションは時代を変えるかも

(おまけ)ディープラーニングを学んで思ったこと

前のエントリーでディープラーニングについて書きましたが、学ぶ中で思ったことや考えたことが色々あったので書いておこうと思います。

ニューラルネットはソフトウェアのイノベーション

今までのソフトウェアは、人間がいちからプログラムを書かないと正しく機能しませんでした。
しかし、ニューラルネットではデータを与えることによって自ら改善していくようになったことはエポックメイキングなことだと思いました。
ある意味、いままで実現できなかった自動プログラミングが可能になったということだと思います。
これが進化すれば、プログラミングさえもコンピューター自身が行うこともいずれ可能になるでしょう。
ソフトウェア開発だけでなく、あらゆるものの製造やデザイン、研究などもできるようになるかもしれません。
もちろん、全てをコンピューターに代替するのは難しくて、物事の善悪を判断したり文化的背景を考えたりすることは難しいと思います。
ただ、コンピューターに依存する場面はこれからますます増えていきますので、すべての人がコンピューターについて正しい知識を持つ必要がある時代になっていくのではないでしょうか。

バイスの進化がイノベーションを可能にする

ディープラーニングの技術は最近出てきたように思われているかもしれませんが、元々のアイデアは40年前に考えられていたのですが(しかも日本人!)いろいろな意味で早すぎたため注目されませんでした。
それが、半導体チップの集積率が上がって実現可能な技術となったため一気に知られるようになりました。
一見華やかなイノベーションも地道な努力があったから可能になったということなのでしょうね。
昔、私がPCをはじめて買った頃はゲームしかできない高いおもちゃで役に立たないとさんざん言われましたが、ここまで来るとは想像もできなかったです。

学習が一番負荷がかかる

機械学習で一番負荷のかかるのは学習です。
大量のデータを用意するのも大変ですが、それをニューラルネットに入力して学習させるのにかなりのCPUパワーが必要です。
そこで機械学習に特化したチップやGPUなどを使って高速化する技術も出てきました。
アプリケーションによってデバイスにも技術革新が起こるという点で興味深い現象です。
そんな機械学習を学んでいると、ふと人間の学習についても考えるようになりました。
人間でも小中高大と16年もかけて学習していますが、そんなに長期間かけてるのにちゃんと学習できているのかと思いました。
テストで点数を取ることばかり気にして本当の理解ができていないのではないか、それは機械学習で言えばテストが通るようなモデルを作っているのと同じだと思います。
機械学習には過学習という問題があって、特定のデータに最適化された学習が行われると正しい判断ができないモデルになってしまうことがあります。
人間の教育もあまりにもテストを重視するために過学習状態になっている人が多いのではないでしょうか。
最近の日本のエリートの劣化を見ると、そんなことも考えてしまいました。
技術から人間のあり方が洞察できるというのもおもしろいですね。

多くの試行錯誤がいいモデルを作る

機械学習では、バッチでひとまとまりのデータを複数回与えてニューラルネットを改善していくことが基本動作になります。
なので、最初は赤ちゃんと同じで何もできない状態ですが、試行錯誤しながら学習することによってうまく処理できるようになっていきます。
ここで思ったのが、日本社会はこの対局にあるなということでした。
学校でも減点主義でミスするとバッテンをくらいますし、企業ではミスすると左遷されたり給料査定を下げられたりします。
こういうことをすると学習する機会を奪われることになります。
一般にはディープラーニングは話題になっていますが、今の日本社会では受け入れられない技術ではないかと思います。
特に、日本企業は終身雇用で長く働いている人が多いので、自分が用済みになりそうな技術を積極的に入れようとは思わないでしょう。
そういう意味で私は日本社会には絶望していますので、機械学習でビジネスするのなら海外がいいのではないかと思っています。

ブラックボックスではない

AIはブラックボックスで中身がわからないとよく言われますが、これは正しくありません。
前のエントリーでも説明したとおり、ニューラルネットのキモはニューロン間の接続の重みデータです。
これは見ることはできますが、ただの数値の羅列なので人間がその意味を理解できないだけです。
しかし、それをわかりやすく表示するツールや挙動を分析するツールなども出てきてますのでこれからだんだんと可視化されるようになるのではないかと思います。
なので、怖がるのではなくちゃんと理解して付き合うことが大事だと思います。

ちょっとエッセイ風に書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
私はディープラーニングをインターネット以来のイノベーションだと思っています。
そして、単に技術的な進歩というだけでなく、仕事がなくなったり誤った使われ方をするなどの負の側面を考えることによって、これから人はどうあるべきなのかを考える機会にもなるのではないかと思います。
いずれにしても機械学習によってよりよい社会になってほしいなと思います。